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厚生労働省の調査によると、うつ病を中心とする気分障害患者数は、平成11年の44.1万人から平成20年には104.1万人と、10年足らずで2.4倍になるなど、老若男女を問わず増加の一途をたどっています。
こうした背景には、テレビコマーシャル等のうつ病啓発による受診促進の影響の他、うつ病の診断方法の変化や、うつ病と診断する診断者の増加、とりわけプライマリーケアにおける非専門医によるうつ病診断の増加などが指摘されています。しかし、それだけではなく、能力主義・成果主義に偏りがちな複雑な社会構造やそれに伴うストレスの増大等が、うつ病罹患者増加の一因となっていることに間違いはないでしょう。
また、患者の年齢分布をみると、特に40歳以下の占める割合の増加が目立ち、従来の好発年齢よりも若い世代でのうつ病の増加は、自己愛傾向を有する現代的な新しいタイプのうつ病の台頭を示唆するといった声も聞かれます。
うつ病に関する知識は、社会的には次第に認知されてきてはいるものの、未通院の患者様の数は今なお多く、医師にかかっている方は全体の4分の1に過ぎないとも言われます。
また、我が国では平成10年以降、毎年3万人を超える自殺者があり、大きな社会問題となっています。平成9年と言えば、山一證券の破綻に代表されるように、日本経済にとって大きなマイナス転換となる象徴的な年でした。日本人男性の自殺率と完全失業率が相関することからも、経済不況が自殺増加の一因になっているのは明らかですが、自殺の実態を精神医学的に見た場合、元々の原因は様々であっても、自殺時には90%近くが精神障害を有する状態にあり、その多くがうつ病だとの見解があります。自殺者は、自殺に至るまでに、複数の個人的問題や社会的問題を同時に抱え込んでしまうことが少なくありません。こうした傾向は、うつに悩む方々にも当てはまると考えられます。 |
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私たちは、このような現状を踏まえ、患者様およびご家族の切実なニーズに対応すべく、精神医療従事者・福祉関係者と患者様との架け橋の役割を担い、健全で明るい地域社会の確立並びに社会福祉全体の発展に寄与することを目的に、特定非営利活動法人(NPO法人)を設立いたしました。
各機関単独では対応が困難なそれぞれの問題に対して、具体的な解決策を提示できるよう、すなわち患者様が必要とする支援に確実につなげられるよう、各専門家・専門機関どうしのネットワークを構築するという意味を込めて、『うつ支援ネットワーク』と名付けました。
具体的には、医師、看護師、薬剤師、心理カウンセラー、精神保健福祉士、キャリア・コンサルタント等の医療・福祉スタッフが中心となり、診療所、病院等の医療機関や福祉関連施設、自治体や関連する公益法人等と相互連携を図りながら、患者様の早期発見、通院促進、快復促進、生活基盤の整備、快復後の社会復帰に関して、インターネットや電話などを活用し、支援活動を行います。
特に患者様の早期発見、通院促進については、DUP(duration of untreated psychosis)を短縮させることが治療予後を改善させ得るという観点から、真っ先に取り組むべき課題と考えます。インターネットや電話を利用して未治療の患者様に対し必要な情報を提供し、適切な治療へ導くこと、すなわち専門医の先生方にいかに早く繋げるかということは、我々にとって最も重要な活動の一つとなりましょう。
同時に抑うつを原因とする自殺の抑止にも積極的に取り組み、またうつに対する誤解・偏見を無くし、正しい知識を普及させるため、講演会や勉強会の開催など、啓発活動にも力を注ぎたいと考えております。
こうした活動は、精神医療に携わる専門医の先生方や福祉関係者、製薬会社の方々の温かなご支援なくしてはなし得ず、切にお力添えの程お願い申し上げる次第でございます。 |
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さて、私はこれまでのキャリアの多くを、麻酔科及びペインクリニックの医師として過ごして参りました。ペインクリニックを受診される患者様には、四六時中続く激烈な痛みを抱える方も少なくありません。そうした方々は抑うつを伴っているケースが多く、また、痛みに対する囚われ、誤った認知を抱いてしまっている場合もあり、支持的に接する精神科的な基本姿勢や、精神療法的アプローチの必要性を痛感したのが、数年前から本格的に精神医学を勉強させて頂くようになったきっかけでした。その後、私の大切な友人がうつに罹患し苦しむ姿を見るにつけ、日々の診療とは別の視点から自分に何か出来ないだろうか、と痛切に感じたことが大きな転機となり、志を共にする方々のご協力の下、本NPO法人を設立(申請中)する運びとなった次第でございます。
精神医療に携わる医師として、私自身まだまだ至らぬ点もあるかと存じますが、諸先生方のご指導を賜りながら、少しでもうつに悩む患者様やご家族のお役に立つことが出来ますよう、真摯に取り組んでゆく所存でございます。ご指導ご鞭撻のほど、何卒よろしくお願い申し上げます。
なお最後に、私どもの設立趣旨にご賛同頂けましたならば、是非とも本ネットワークにご加入頂き、お力添え賜りますよう、改めまして切にお願い申し上げます。 |
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